このところ、ご相談の多い首の寝違え。
だいたいの寝違えは、その場で痛みが無くなります。
でも、1ヶ月以上おさまらないでいた痛みは、原因がいろいろこじれていて、首の寝違えだけの問題ではなくなっています。
右を振り向けないまま、1ヶ月以上経過していたとしたら、無意識のうちに右の振り向きが小さくて済むよう、脳が全身の動作を正常値から、都合良い異常値に書き換えます。
文章では分かりづらいかもしれませんが
左に顔を振り向く時は痛みがないので、何の異常な動きもなく、普通に首を回して顔を左に振り向きます。
ところが、痛みのある右向きは、首の動きをストップして、肩や背骨を捻って、顔を右に振り向きます。
無意識ですから、意識しないと動きの左右差がある事にも気付かなくなってしまっている事が多い。
では、その状態になった体を元に戻すにはどうすればいいか?
単にこっている筋肉を揉みほぐしたり、マッサージして、脳の異常値が修正されるでしょうか?
答えは、されません。
いつまでも痛い、いつまでも硬い、いつまでもこっている、マッサージした直後はイイけどすぐに元に戻る
など、癖付いているから、治らない…。
というのは、背骨のゆがみや筋肉のコリが癖付いているのではなくて
脳の計算が間違ったままになっているんです。
脳の計算間違いを考えずに、マッサージをしていると、今度はマッサージによって体に異常値を作ってしまい、脳は別の都合の良い値を算出するようになります。
こうなって来ると、元々の原因とは別物になり、症状を上乗せしている事になります。
クスリをいくつもいくつも、長期間服用するのも、同じ事が言えますね。
例えば、Aというホルモンが、一時的に量が少なくなり、眠れない状況が続いた。
とする。
Aホルモン剤を三日間服用した結果、ホルモン異常は治り、眠れるようになった。
この段階でAホルモン剤の服用をストップすれば、症状はなくなって終わり…となりますが
その後、四日間続いて服用し続けたら、Aホルモンは過剰状態となり、別症状へと変化してしまいます。
今度は、やる気が出ない、昼間眠くて仕方ない、考えがまとまらない、などの症状になる。
病院に行くと、今度はBホルモン剤を処方され、それも一週間服用し続けた結果、Bホルモンの過剰状態になり、興奮し眠れなくなり、またAホルモン剤を大量投入する…。
みたいな事を繰り返しているうちに
「あなたは鬱です」
と言われてしまう。
症状や病気の治療に置いて、何が大事かというと
「原因」をきちんと見極め「適切」な処置を、「必要」な場合にのみ行うこと。です。
シンプルに解決する症状も、こじらせると、とんでもないところにまで行き着いてしまいます。
クスリなら三日服用、施術なら三回やって、効果を感じられないなら、その方法は御門違いでしょう。
クスリの場合は、三日服用して症状が治れば、服用をストップしてみましょう。
もう病状は変化しているからです。
そのまま続けることは、全然違う処方箋を服用していることになるので注意してください。
漢方も同じです。
漢方の生薬はハーブです。
ハーブを使った世界最古の医療がアーユルヴェーダですが
アーユルヴェーダでは、同一のハーブは三日以上使用し続けない事が基本ルールです。
何故なら、三日前の病状に対して適切だったハーブと、病態が変わってからの適切なハーブは、全然別物だからです。
簡単に言うと、三日前までは薬でも、四日目くらいからは毒に変わっていく…と言った感じです。
難しいですね。
でも、シンプルに考えて。
三日前と今とでは、病態が違うから
違う薬に変えないとダメってこと。
ずーっと同じクスリを服用して、ずーっと同じ病態なんて、あり得ないということです。
寝違えの話しから、だいぶかけ離れた感じになりましたが、今日も最後までお付き合いありがとうございました。