骨盤矯正の意味を考えてみましょう。
まず、骨盤矯正での間違った認識や誤解を正していきたい。
■ 痩せる
■ 左右対称にする
■ 産後は骨盤矯正しないといけない
■ 骨盤は締めるといい
これらの認識は、すべて誤解を生んでいます。
どれも正しい事ではないので、↑を目指そうと骨盤矯正はしない方がいいでしょう。
そもそも、骨盤矯正とは、何を目的とした施術なのか?
を知ってほしいと思います。
骨盤矯正の真の意味は
□ 骨盤と股関節、脊骨をはじめとする、全身の動きの連動性、機能性の正常化を図る
□ 骨盤内臓や坐骨神経などの神経系の働きの正常化を図る
このふたつです。
それが、マーケティングのやり方、宣伝文句として、「骨盤ダイエット」「産後の骨盤矯正」などのフレーズを使ってしまったがために、インパクトのあるフレーズだけがひとり歩きしてしまっています。
そもそも、骨盤や足の長さは、動きの中で必ず左右非対称になります。
寝転んだ状態の検査で、「足の長さが違いますね!」と言われますが、そんなの当たり前なんです。
例えば、歩いたり走ったりする時、骨盤〜脚の運動は、左右とも同じ動き方をするけれども、左右が同じ位置で止まることはない。
左右の若干のズレがある事で、効率良く運動連鎖する事ができます。
自転車ペダルみたいなもんです。
人間は常に動いている"動物"です。
じっと静止した状態での判断、または、静止画像(レントゲンやMRI)での検査では、正しく状態を判断する事はできません。
「可動性がどうなのか?」「動きに関して不具合がないか?」「どの様な動きが苦手、どんな動きで不具合が起きる?」など、運動、動きの中で確認しなければなりません。
「止まっている状態では正しく検査できない」
という事です。
真っ直ぐ、左右対称の位置にする…
という考えは、骨盤では意味がありません。
しなくていい。
ひとまず左右対称の位置に持っていったとしても、一歩踏み出した瞬間に、左右非対称に戻ります。
それが正解だからです。
次に産後の骨盤矯正について…です。
妊娠〜産後まで、骨盤の開き具合や前傾後傾は、ホルモンの分泌によって左右されます。
妊娠中、あかちゃんの成長に伴い、靭帯が緩み、開いて胎内の空間を広くしていきます。
この時、骨盤の左右の骨(腸骨)は、後傾、開いて後ろに傾きます。
その代わり、真ん中の仙骨は前傾して、骨盤の最も安定性の高い"ニューテーション"という状態になります。
靭帯が緩んでも安定性を高める為です。
出産の時期、あかちゃんの頭が子宮底を刺激して、ホルモンバランスは、妊娠中のバランスから、出産〜授乳へと移行します。
出産の際に、最後に靭帯は緩みの最高値に。
あかちゃんは腹圧で刺激され、外へ出ていきます。
出産が終わると、今度は靭帯が徐々に締まりを戻して来ます。
徐々に骨盤が締まり、産前の状態へと戻っていきます。
この一連の流れをしているのは、ホルモンです。
手技による矯正術ではなく。
産後も腰が痛い…などの症状は、「骨盤が開いている」というのもあるかも知れませんが
それは、ホルモンの分泌が、妊娠中のままになっているのか、靭帯を緩めるホルモン「オキシトシン」と似た分子構造の、副腎皮質ホルモン放出ホルモン(ストレスによって分泌)が影響して、腰痛や腱鞘炎を起こす場合があったりします。
どちらにせよ、ホルモンバランスです。
骨盤を矯正する、骨格筋を調整する
というより、ホルモンバランスをどうにかしないといけません。
足の長さを揃える為、骨盤の傾きを左右対称にする為、何度も骨盤矯正を受ける…という事に、何の意味があるでしょうか?
では、産後に何をすればいいのか?
いちばんは体力回復を図り、休むこと。
授乳に必要な栄養を蓄えること。
骨盤矯正などの外的刺激はできるだけ受けない方がいいと、ぼくは考えています。
ウツロイでの産後整体は、ホルモンバランスや身体の回復を促進させる様な手技を行います。
無駄に強い刺激は入れない。
直接的に骨盤をどうこうするのではなく、間接的に骨盤や、その周辺の自然な動き、自然な働き(機能性)を取り戻すよう、整体を行います。
そうすれば、勝手に骨盤は良い方向へと動き出すし、身体もさらに伴い動きを回復させます。
自律神経やホルモンの働きが元に戻ることで、体調は正常化していきます。
本当の意味での骨盤矯正は、骨盤を動かす施術のことではなく
骨盤や股関節の機能性を中心とした、脊骨や身体の動きや機能性の改善を図る施術の事で、骨盤だけでなく、全身の調整です。
足の長さや骨盤の傾き左右対称にするだけの施術ではないという事ですね。
まとめ
○ 骨盤や足の長さは左右非対称でいい
○ 妊娠〜出産まで骨盤はホルモンで動く
○ 産後は矯正ではなく、休息、栄養
○ 本来の骨盤矯正は全身の機能性を図るもの
「骨盤を締めたら痩せる!」
などの魅力的なフレーズ、夢がある感じを壊す内容の記事になってしまいましたね…
ごめんなさい 笑
でも、「小顔矯正」と謳った広告やホームページは、薬事法違反で業務停止にまで追いやられる店もあるくらいなので、そのうち「骨盤矯正」と謳うことも禁じられるかも知れませんね。